奨学生の選抜をする際のインタビューで必ず聞くことの一つに、「家業はなんですか、収入はどれくらい?」というのがあります。『農業』と答えた生徒達の大半が収入に関しては「不定だが」と前置きした上で、それだけでどう生活していくのだろうと思わせる額を答えます。
日本人としての感覚で言えば、農業を営めるのであれば土地を持っているのだろうに、それにしてもあまりにも低い収入をいつも疑問に思っていました。 しかし最近になってその理由の一端が分かる説明を聞きました。 支援するチェンダオのその村では季節に応じたにんにく、唐辛子、果物等々の換金作物が栽培されています。その他の人気作物はとうもろこしだそうです。 とうもろこしは飼料用の他、最近になってバイオエタノールというエネルギー源にする需要が急増しているそう。 とうもろこしに限らず、資金がない人たちが生み出した生きていくための苦肉の策は、中間業者から割高の種や肥料を借金と言う形で買い、土地がなければ借地をして作物を育て、収穫後に中間業者や地主に借金を返済するシステムだそうです。 この村ではタイ語会話はおろか、読み書きもままならない山岳少数民族やビルマの難民が多いため、大手の買取業者との折衝もその中間業者に任せざるを得ず、1ライ(1,600平米)の土地から得る収入は平均3ヶ月の栽培期間で3,000バーツ(9,000円)程度ということも多々あるそうです。 一方中間業者は座して待つだけでその何倍もの収入を得ていると聞くと、それではいつまでも貧しさを抜け出すすべがない、と絶望に似た不公平感を強く感じます。 鋤きおわり、種撒きを待つ土地
by karihaha
| 2013-01-16 19:21
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