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刑務所事情

チェンマイ女性刑務所に足げく通う私に、タイ人の友人は「タイ人でも行ったことがないところに外国人の貴女が」と言います。

確かに私も幸いにも(?)日本の留置場や刑務所に行ったことがありませんが、ここタイではその内情を知る機会が多いと思います。

前職にある間、そしていまも学校や役所の敷居はかなり低く、特に市内を外れると初訪問でも、外国人の物珍しさもあるのか授業そっちのけでアテンドしてくれる先生等のケースが殆どです。

しかし刑務所となると、やはりそうはいかず面会希望者も規則に従った行動を要求されます。

1.まず面会は週末・休日を除く毎日午前8時から11時30分までと午後はお昼休みを挟んで13時から14時30分まで
2.罪によっては面会が出来ない期間やケースもあるようです 
3.面会可能回数と時間は毎日1回15分間。ただし麻薬関連で1千錠以上の罪は週一回のみ
4.面会できる1回あたりの人数制限は定かではありませんが、今までで最高5人で訪問したことがあります。 ただその資格は少なくとも友人関係以上等の必然性があるのでは
5.手続きはまず申請書に受刑者と訪問者の姓名を記し、訪問者の身分証明書を併せて提示します。
6.その間、カウンターにあるロッカーの鍵を使って指定のロッカーに手荷物をいれます。つまり面会時は手ぶらでなければなりません
7.その後しばらく待つと、名前を呼ばれ面会席を記したシートが渡されます。身分証明書もこのときに返却されます。
8.シートを手に面会待機の待合室に行きます。シートチェックの後入室です。この部屋は受付部分とは鉄格子で遮断されています
9.その部屋の奥がいよいよ面会室です。ここに入るのも鉄格子を通ります。ベルの合図で前のグループが退室するのを待って部屋に入り全員が入り終わると鉄格子のドアが閉まります。
10.部屋は縦6メートル横3メートルぐらいの広さで、天井までのガラスと金網のフェンスに仕切られた受刑者側も同じくらい。
11.双方のフェンス側にそれぞれおよそ20名ぐらい、そして壁側にも同人数が座れます。フェンス側はフェンス側、壁側は壁側の人とインターホンを通じて話します。つまり壁側になるとフェンスを挟んでおよそ6メートルの隔たりがあります。
12.面会はベルの合図で終わり、退室します。

ルールさえ分かればそれほど煩わしい手続きもなく、何より受刑者にとっては唯一の楽しみ・励みでしょう。聞くところによると、バンコックには麻薬がらみで日本人受刑者が服役中で、日本人旅行者も面会に行っているとか。。 チェンマイにはいまのところ日本人受刑者はいないようです。


受刑者の内訳ですが、服役中の1,500人ほどのうち、麻薬法違反者が圧倒的ですが、その他の犯罪を犯した人ももちろん収容されています。麻薬法違反は殆どが売人で、その大多数を占める受刑者が山岳少数民族です。未決囚と既決囚は着ている囚人服で一目瞭然です。前者は茶色、そして後者はブルーです。 判決が下るまでには半年以上かかり、もし財力があれば罰金等の司法取引や、弁護士を雇う費用が出せるでしょうが現実問題としてそのような受刑者は少なく、黙って刑を受け入れているケースが殆どです。


また受刑者の日々の生活ですが、矯正のための施設ですから、職業訓練、幼稚園程度から高校程度までの学習機会も設けられています。大学教育を受けたい場合は通信制を自己負担します。職業訓練には受刑者のための料理、販売のためのパン・甘味工場、縫製、木工、美術品製作、そしてチェンマイではすでに名を知られているマッサージ師のための訓練等があります。


設備の中には売店、食料品店もあります。 売店はちょっとした市中のコンビニひけをとらないぐらいの品揃えですが、これもお金がなければ始まりません。親族等が面会時に係官にお金を預け、受刑者は必要な都度クーポンで買い物ができますが、面会のないあるいはお金を預けていってくれない受刑者はどうしているのでしょう。

食料品は出来合いのおかず等が売られています。刑務所で支給される食事にあきたりない受刑者向けです。旧刑務所では面会の家族が食料品を差し入れする光景をよく見ましたが、ここではその光景に触れることもなく、中止になったのかもしれません。確かに外から物を持ち込むと、違反物を混入させたりトラブルのもとでしょう。


前回の面会時にすぐ近くに座った受刑者は、生後1ヶ月ぐらいの乳児を連れてきていました。それで思い出したベビールームに関し少し。 服役中に出産した場合は子どもが2歳になるまで一緒にいられます。そのためのベビールームがあり、日中は母親以外の受刑者が面倒を見ます。これも職業訓練の一環です。そして夕方から朝までは母親と一緒に房で過ごします。2歳以降は家族・親戚のもとに行くか、引き取り手がない場合はしかるべき養護施設に預けられます。

こまごまと書きましたが、タイ社会の片隅の、知られざる現実を知る一助になればと思います。
by karihaha | 2013-08-18 19:28 | ブログ | Comments(0)
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