センチメンタルジャーニー

先週末にバンコックでの所用があった帰り、フト思いついて14年前にボランティアをしていたエイズホスピス『プラ・バートナンプー寺』へ行ってみることにしました。

当時からいままで脳裏を離れない『強烈』な経験をしたそのお寺。まだ抗エイズ薬が一般的ではなかった日々では、毎日毎日患者さんたちが命を落とし、その過酷な現実の証人として8ヶ月間ボランティアを務めました。

14年前とは言え、お寺のあるロップブリへの道は意外とはっきり覚えていました。バンコックからミニバンで3時間、そこから市内のソンテウに乗り換え寺への側道に続く箇所で客まちするオートバイに乗り換えます。
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大通りから5kmほど行くと懐かしい寺が見えて来ました。8ヶ月間毎日通った場所です。日曜日だったこともあり、見学者がひきもきらないのも以前のままです。患者とおぼしき女性がガイドのようなことをしています。

私にとっては勝手知った場所ですから、ドンドン進んでみます。新しい建物がどんどん建てられているのに気づきます。当時もすでに充分すぎるほどの設備だったのに、その後も寄付にことかくことはないのでしょう。
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敷地が尽きるあたりで忘れられない建物が目に入りました。 ボランティア初日に入り、その光景に度肝を抜かれたホスピス棟です。 広いホールに左右に振り分けられたベッドがズーツと続き、薄暗い室内で横たわる人々の気配は消され、ただその独特の匂いがそこは『死』が支配する空間だと思わせました。

その棟もいまは倉庫に変わり、その奥の新病棟も使われていないとのこと。ではもう患者さんはいないのか? 抗HIV薬が出回っている現代にはこのような施設はその目的を発展的解消をしたのかもと思っていると、まだその奥、敷地の一番突き当たりに新しい建物が建っているのに気づきました。 患者(?)と思しき人々が外のベンチでくつろいでいます。
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近づいてみるとその建物が病棟で、広いホール式の空間をナースステーションを挟んで男女に分かれた病棟があります。 

「患者さんはいま何人いるの?」

「155人」

タイでは抗HIV薬が無料で頒布されているのです。それにも関わらず155人も! 14年前は確か200人程度の患者さん数と殆ど変わらない人々が!!


このお寺では抗HIV薬を処方しています。そしてその他の生活用品は食事を含め無償で提供されます。しかしその代償とも言える、以前感じた『動物園』の動物を見るような見学者の視線にさらされるのです。


そんな私に話しかけてくれた患者さんは、「中に入って見てきたらわ?」と屈託なさげに言います。以前もそうでした。 私の複雑な思いなど、厳しい現実の前ではただのセンチメンタリズムなのでしょうか?

「実は14年前にボランティアをしていたんです」と言うと、「その頃働いていた看護師がまだいるよ」と連れて行ってくれました。確かに顔なじみの看護師です。「もう16年も働いているわ」。という彼女とあの頃の話をタイ語でしているのに一種の感慨を感じる私。
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当時はタイ語が出来ず、瀕死の患者にも英語で対応をしていた私。患者さんにとっては苦しいときにさぞ迷惑な介護士だったでしょう。


私のセンチメンタルジャーニーの締めくくりは当時暮らしていたゲストハウスのあるダウンタウンあたり。タイ国鉄のロップブリ駅周辺に広がる街ではあのときのように夕方から店開きをする屋台が並んでいました。
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毎日ホスピスから帰るとまずゲストハウスの部屋でシャワーを浴びて、その後は当時のボランティア仲間と夕食を求めてこのあたりをうろついたなー。


その後はそれぞれに人生の道を歩んでいる彼・彼女たちだけど、共有した経験は強く印象に残り、その後の道を決定づけた人もいます。

彼らに久しぶりに連絡し、今回の写真を見てもらうことにします。
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by karihaha | 2015-11-11 17:35 | ブログ | Comments(0)
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