養子縁組

 ジョンさん家のクワンがドイツに養子縁組が決まったそうだ。脳性小児麻痺の彼女とジョンの将来を思うと、いまは別れがつらくても、双方にとってこれほど良い将来の展開はないと思う。

 そこで、今日はタイの海外養子縁組について。


 Vホームの資料によると2003年度では51人の子どもたちが養子縁組の対象になった。内16人がタイ人家庭に引き取られ、残り35人が海外に旅立った。

 私が常々言っている、「捨て子は重大な犯罪」という理由はここにもある。子どものルーツを奪ったばかりか、施設に連れてきて相談するというような最低限の義務も履行せずに、責任放棄する。

 これがひいては子どもの養子という可能性を難しくする。なぜなら、養子縁組成立には、実の親あるいは、法的保護責任者の承認署名が重要な条件の一つになっているからだ。

 
 未来の養親が養子縁組を申請する場合は、タイの社会福祉省の管轄局か、海外の場合は、在外公館あるいは、タイ政府から認可された協会を通してするのが普通である。

 今回ジョンから子どもの実の親、特に母親が記入すべき箇所の多い、養子縁組申込書のコピーを入手した。

 この内容を読んで思った、「母親ばかりで、父親の姿が見えてこない」。


 この一連の書類の中に「養育放棄誓約書」というのがある。

『私は当該児童の養育が不可能な状況にあり、変更不可能という条件で、親権と保護権をXXXXX(養子縁組を斡旋する機関名)に委譲します。私はこの児童を養子縁組目的で手放すことをここに誓います。

 私は現在保持する親権を放棄します。この書類に署名することにより、今後いかなる状況においても児童の親権行使の要求をしたり、利益を求めたり出来ないことを了解しています。

 上記の内容は私の母国語で説明され、私はその内容を充分理解し、同意した事を誓います』


 この短い一節は、いままで私が翻訳した中でも、一番気を重くさせたものかもしれない。


*More(続く)に関連書類の全訳を載せています。ご興味のおありの方は、是非お読みください。



                 1.タイ国の国際養子縁組
                 (養親希望者けバンフレットより)

児童養子縁組センター
 児童養子縁組センター(以下センター)は12才以下の子どもで、特に必要ありと判断した児童に国内外の養子縁組を斡旋します。このセンターの役務は養子を希望する国内外の養親希望者の申請書を審査し、児童を紹介した上で、すべての養子縁組の案件を児童養子縁組審査会の承認を受けるために提出することです。

 当センターの有資格者の社会福祉士が養親希望者の適正を審査します。また養子の対象になるすべての子どもたちの個人的背景に関わる書類及び、実父母の状況、また本人の児童養護施設での日常行動を調査します。

私たちの子ども
 厚生局の保護のもとに置かれた、両親や法的保護者のいない孤児、あるいは遺棄児が養子縁組の対象となります。子どもたちに恒久的な住居や家族を提供した上で、教育機会を得、家族的な環境で社会的適合性を養い、人格形成が出来るようにします。

 タイ王国政府は子どもの権利を守るため、1977年7月労働社会福祉省、厚生局に児童養子縁組センターを設置しました。

養子縁組資格審査
 養子縁組を申請するものは25才以上、また養子縁組をしようとする児童と少なくとも15才以上の年齢差を有するものでなければなりません。申請者は合法的な配偶者を有し、居住国の法律上も養子縁組が可能な者とします。

申請
 厚生局は、養親候補者の居住地の政府の社会福祉事務所か、正式に認可された非政府組織を介しての申請のみを受け付けます。この正式な機関から送られた書類は当センターが厚生局に代わってその適正審査をします。その審査要綱は、申請者の身体的、精神的健康状態、家族状況、資産状況が含まれ、申請書に添付される証明書類は原本証明を添付するものとします。

子どもの選考
 申請書が受理されると、当センターは、養親希望者に適し、かつ法的に国際養子縁組が可能な児童を選考します。当センターのディレクターが児童の選考委員会の委員長として、それぞれの養父母に適すると思われる児童を選びます。この選考までの待機期間は通常3-6ヶ月です。選考が確定した児童の報告書が居住国の公的機関を通じて養親希望者に届けられます。

 認可を受けた非政府機関を通じて養子縁組申請の出された児童は、国際養子縁組に関わる法的基準に合致している否かの事前審査が行われます。公的機関、あるいは認可を受けた非政府系機関以外からの養子縁組申請は認められていません。


承認、観察期間
 子どもの選考が終わると、児童養子縁組審査会に書類が送られ、承認を得ます。さらに労働社会福祉大臣の承認を取り付けます。申請書が厚生局に提出されてからここまでの期間はおよそ1年を要します。子どもの旅券等の手続きが終わると、養親希望者はバンコックの児童養子縁組審査会でインタビューを受けたあと、選考された児童との6ヶ月を限度とする観察期間に入ります。養父母と児童は、養父母の居住国で承認された機関の監督のもと、この観察期間を家族として一緒に起居します。

 タイ国に居住する養父母は、児童の旅券が出来る前に児童養子縁組センターのインタビューを受けます。タイ国に於いては有資格の社会福祉士の監督のもと観察期間を過ごします。

養子縁組
 観察期間が終わり、全ての適正要綱が満たされた時点で、厚生局は当センターに正式な養子縁組を認可するように推薦します。その後、養父母は居住国のタイ国在外公館か、タイの各地域の事務所で、法律に基づいた養子縁組登録を行います。

養子縁組申請機関
 養親希望者は居住国の政府の社会福祉事務所、あるいは認可を受けた非政府系機関を通じて養子縁組申請をしなければなりません。タイ国内であれば、直接当センターあるいは資格を有する養子縁組機関に申請することになります。

CHILD ADOPTION CENTER(児童養子縁組センター)
Dept. of Public Welfare
Ban Rajavithi, Rajavithi Road,
Bangkok 10400, Thialand.


タイ国内の認可を受けた非政府系機関

Sahathai Foundation
850/33 Sukhumvit Road, Soi 71,
Klongton, Bangkok 10110,
Tel:02-381-8834/6

Friends for All Children Foundation
25 Soi Ruam Rudee,
Ploenchit Road,
Bangkok 10500, Thailand.
Tel:02-252-6560

Pattaya Children’s Home Foundation
384 Moo 6, Sukhumvit Road,
Naklua Banglamung,
Chonburi 20150,
Tel:038-428717,422745,423468

Thai Red Cross Children’s Home
Vachiralongkorn Building,
Chulalongkorn Hospital,
Rama IV Road,
Bangkok 10500, Thailand.
Tel:02-356-4207, 02-356-4178

              2.パンフレット記載以外の要綱

申請時に添付すべきその他書類
1)健康診断者。身体的、精神的に良好な健康状態であることを証明するもの。不妊症であれば、それを証明するもの。
2)婚姻証明証。
3)就業および、所得証明書。
4)経済状況をあらわす書類。
5)保有財産の状況をあらわす書類。
6)保証人2人の推薦状。
7)離婚証明書(該当者のみ)。
8)4,56cmサイズの写真4枚(申請者、家族全員(子どもがいれば含む)、居住区付近)。
9)申請者の居住国の移民局が発行する養子の移住受入許諾書。
10)タイ国法に基づき認可された養子縁組が、申請者の居住国の該当法によっても認可されるという確認書。

すべての書類は原本とし、申請者の居住国に置かれたタイ国の在外公館あるいは外交ル
ートで本国に送られ、承認されたものであること。

2人目のタイ人児童を養子に迎える場合
この場合は例外的措置として、養親希望者がタイ国に赴けない場合、当児童養子縁組センターの社会福祉士が付き添い児童を養親希望者に送り届けることも出来る。この場合に発生する渡航費用等の経費はすべて養親希望者が負担する。

養親希望者のタイ滞在
当児童養子縁組センターが選考した児童の書類手続きのため、養親希望者はおよそ2週間タイに滞在しなければならない。選考した児童の渡航費用や旅券発行の費用は養親希望者が負担するものとする。

養子縁組を一度に申請できる人数
一回の申請では原則的に一人申請するものとする。双子、兄弟、あるいはタイ人配偶者の連れ子の場合はこの限りではない。

一才以下の乳児が養子縁組の対象になることは殆どない。

養子縁組に要する期間を特定するのは難しいが、普通1年ないし2年となっている。


     3.非政府系NGOからの実父母への質問状及び委任状

養育放棄する生母への質問状
1)名前、出生地、生年月日。
2)両親の状況(生存/死亡、年齢、職業の有無、健康状態、社会的地位)
3)兄弟の状況(子どもの数、住居地、兄弟の一人が養子縁組に出されるとの認識の有無)
4)学歴
5)職歴
6)子どもの数(年齢、名前、誰と一緒に住んでいるか、同じ父親からの子どもか、健康状態)
7)養子縁組を要請している児童の父親との関係(出会いの経緯、交際期間、同居しているか、妊娠が確定した時はどのような状況であったか、まだ連絡が取れる状況であったか、父親は胎児に対しどのような感情を持ったか)
8)妊娠期間中の健康状態(妊娠期間中は良好な健康状態であったか、妊娠中絶をしようとしたことがあるか、妊娠中に飲酒したことがあるか(もし飲酒経験があれば、どの程度)、正常分娩あるいは異常分娩。
9)母親の健康状態(病歴の有無、家族の中に糖尿病や心臓病患者の有無)。
10)児童の親権を放棄する理由。
11)将来児童と連絡を取り合うことを希望するか。
12)養親との面会を希望するか。
13)連絡先(住所、電話番号)


児童に関する質問状
1)児童の名前、姓、年齢、生年月日、当該施設が引き取った日時
2)引き取った理由
3)引き取った時点での児童の身体状況(外見上認められる心身の異常、体重、身長、頭   囲、胸囲
4)予防接種の履歴
5)提出書類(母親の身分証明書、戸籍証明書、出生証明書、出生証明書受領書、児童引渡 書、健康診断書)

家族調書
A)父親
―姓名、年齢、国籍、宗教、学歴、職業、年収、現住所、性格
―児童に対する父親の感情
―児童の父親に対する母親の感情
―健康状態
B)母親
―姓名、年齢、国籍、宗教、学歴、職業、収入、現住所、性格
-児童に対する母親の感情
-児童の母親に対する父親の感情
-健康状態
C)保護者
-姓名、年齢、国籍、宗教、学歴、職業、収入、現住所、性格
-保護下の児童に対する感情

6)家族の状況
―夫婦同居、別居
―婚姻届及び出生届の有無
―父親の状況:再婚   妻を放逐    死亡    その他
-母親の状況:再婚   夫を放逐    死亡    その他
-児童の状況:両親と同居   父親と同居  母親と同居  保護者と同居(保護者の姓名) 捨て子  ストリートチュルドレン  その他(理由を特定)
-親族/兄弟の状況:接触の有無  興味あり  興味なし   その他

7)出世後、養子縁組を希望するまでの経緯(簡略に)


養育放棄宣誓書
1)生み親の名前、年齢、身分証明書番号、現住所
2)児童の名前、生年月日、現住所

 私はこの児童の養育が不可能な状況にあり、変更不可能という条件で、親権と保護権をXXXXXXXX(養子縁組を斡旋する機関名)に委譲します。私はこの児童を養子縁組目的で手放すことをここに誓います。

 私は現在保持する親権を放棄します。この書類に署名することにより、今後いかなる状況においても児童の親権行使の要求をしたり、利益を求めたりすることが出来ないことを了解しています。

 上記の内容は私の母国語で説明され、私はその内容を充分理解し、同意した事を誓います。

両親の署名、日付。
保証人2人の名前、身分証明書番号、住所、署名。




委任状
母親の名前、既婚・未婚、身分証明書番号、住所。

私、この児童(男児・女児)の生みの母親は、子どもの将来の利益のために、 XXXXXXXX(養子縁組を斡旋する機関名) が中央登録局で私の婚姻状況を調査する権利を委任します。

この委任状により、私が有する権利に基づいた行為と同様の権利を同財団に委任するものとします。この委任状は私の自由意志で作成し、署名したことを誓います。

        権利譲度者の署名
        権利受領者の署名
[PR]
by karihaha | 2005-08-14 00:49 | 養子縁組 | Comments(0)
名前
URL
画像認証
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。



<< にわか「難民収容所」 小児病棟から(110) チャレンジ >>