写真のATMスリップは、先月末に振り込んだ奨学生の1人への後期分、最後の奨学金です。
Patと出会ったのは9年前、彼女が中学2年のときでした。 旧財団で小学生への奨学金選考のため家庭訪問したとき、彼女の腹違いの妹ではなく、中学生の彼女に奨学金を授与すると決めたのです。
モン族の7人家族の一家は父親を亡くしたばかりで、当時の住居と言えば建てかけで放置されたタウンハウスの一隅を不法占拠し、水もなく、トイレと言えば近所の公設市場付属のトイレをその都度お金を払って用を足すという生活でした。
とは言っても財団の奨学金は小学生対象だったので、まずは中学までは個人的に支援、その後は財団に寄宿させ、財団内の仕事をしながら得る、少額のアルバイト代と私からの支援で高校生活を送りました。そして大学は再度個人的支援と償還義務のある政府系の奨学金と, つごう9年間の奨学生としての生活でした。
その間、成績こそ『素晴らしい』とは言えないまでも、生活態度や性格はまさに理想的な奨学生でした。
いまは大学卒業前の研修で、3か月間病院で実践的な訓練をし、その後は再び大学に戻り国家試験に備えます。すべてうまくいけば今年の12月には大学を卒業する予定です。
そして私からの奨学金も今回で終わり、あとは8月末に振り込む、友人から預かっている月2,000バーツの生活費支援4か月分のみになります。
長かったこの9年間。でも初心を貫き頑張ったPat(そして支援者のTさんと私自身)。 その日々を想うと感慨深いものがあります。