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小児病棟から(122) 発育教室

小児病棟から(122) 発育教室_c0071527_1505945.jpg  S病院のゲームは発育教室に行っていた。子ども病棟の一角に備えられたその教室では、発育不全や、脳に障害を持った乳児が毎日数時間、発育を助けるための運動をしている。
 
 マットを敷いた上で、数人の乳児が寝かされ、同じような数の看護師が運動機能を促進させるような、遊びを一人一人にさせている。

 ゲームを担当していた看護師は、ゲームの細さを嘆き、「ここに1年もいれば歩いて帰れるよ」、と言った。

 「1年も居れるの!?」と驚く私。


 テンが入院していたときにも感じたことだが、この病院の質はN県立病院より格段上だと思っている。医師や看護師の質は当然かもしれないが、システムも、私たちが普通に考えて良いと思う方法が取られている。

 例えばこの発育教室。N県立病院にもあるが、それは外来患者に限られ、入院中の子どもたちには、理学療法士が一日数分間訪れるだけの訓練だった。その他の時間は寝かされっぱなし。

 それがこのS病院では、「病気以外は普通の児」と、可能な範囲で、子どもの自然な回復力を伸ばしてくれる。

 ゲームが入院以来、2週間足らずで哺乳瓶からミルクを飲めるようになったのも、そのおかげだろう。

小児病棟から(122) 発育教室_c0071527_20207.jpg                                              
 看護師が見せてくれたファイルには、やせ細った女児が写っていた。その児がどんどん肉付きがよくなり、退院時には丸々と太って笑っていた。

 「栄養失調で運び込まれ、1年2ヶ月の間にこれだけの変化を遂げた、ゲームもこれぐらいになるよ」、と太鼓判を押してくれる。


 この女児は家族のもとに戻ったそうだが、それはそれでまたもとの木阿弥になるのではと心配になったのはさておいて、そう言えば、「孤独な子どもの部屋」には長期入院患者が多い。「焼き鳥」4才を始めとして、3人の乳児が生まれてすぐに人工肛門を装着し、そのまま入院生活を続けている。

 ある程度の年齢になれば、再手術が行われるそうなのだが、それまではミルクは器械コントロールされたチューブ食で、そのために退院が出来ないそうだ。

 
 ゲームの症状はこれとは全く違うが、長期に亘ってこの病院にいれるのであれば、先の看護師の言葉も実現するかもしれない。

 『ゲームが歩く』

 そうなれば両親も考え直すかもしれない。いやダメでも、養子という手もあるかもしれない。テンのことも含め、このところ明るいニュースが続いているのが嬉しい。

 

 
by karihaha | 2005-09-22 01:55 | 小児病棟から | Comments(0)
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