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辞めたい

 日本からの来客の方が、私にこう質問された。

 「色んなことがありながらも、子どもの面倒をみて、辞めたいと思ったことはありませんか?」

 「あります。特に今日のような日には」


 その質問を受けたのはアームがVホームに戻ったと聞いた翌日のことだった。


 このボランティアを始めて丁度2年になる。その長さを思えば、少しぐらい口はばったいことを言っても許されるのではと、あえて心境を書こうと思う。
 
 友人たちに、「赤中(赤ちゃん中毒?)」と言われようが何をしようが、病気の子どもたちの面倒をみることにネガティブな疲れを感じたことはない。

 親がいない、いても様々な理由で面倒をみられない。そんな子どもたちの看病を出来ることは、面倒なことではなく、やりがいのあることだと思っている。

 その子が、どういう人生を歩むのか。私の身近にも、なって欲しいタイ人像、なって欲しくないタイ人像、様々な人がいる。今後のことは、その子の素質と、環境によるだろう。
 
 私が望んでいるのは、その前の段階。何とか病気を治して、健康面だけでもスタートラインに立って欲しい。順調に生育し、成人する。孤児という境遇を疎むこともあるだろう。でも、生きて欲しい。健康であって欲しい。そうすれば、顛末はどうであれ、一個の人間としての彼ら自身の人生を選び、生きることが可能だから。

 テンのように健康面で恒久的な問題がある子どもであれ、「彼らとともにある」ことが、エネルギーを与えてくれる。私の行為や存在が彼らの今や将来に少しは刻印されて、ポジティブな影響をあたえていると信じているから。

 つまり、子どもが直接の原因で、「辞めたい」と思ったことはない。

 私を疲れさせるのは、その周りの大人たちだ。テンの両親、アームの母親と祖母、クワンの母親と祖母と、姿を見せない父親たちを始めとする、その他大勢の両親・親戚。Vホームの職員、特にM女史等々。彼らとの考え方のギャップや、彼らの行動そのものが私を疲れさせる。

 そんな人たちと必然的に知り合い、今回のように泥を浴びせられるような仕打ちを受けたとき、私が知り合った子どもたちも、将来ひょっとしたらそんな大人になる可能性を秘めているのは承知の上で、「辞めたい!」と思うことがある。
by karihaha | 2005-11-10 10:53 | ブログ | Comments(2)
Commented by asian-life at 2005-11-11 10:12
色々煩わされることがあってご苦労が絶えないようですね。ガンバ!!
Commented by karihaha at 2005-11-12 11:40
今回のことはもう呆れてものが言えないというところまで来ました。「チャイ イエンイエン」でないといけないとは思ってはみても…
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