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出口への光

 自宅にいた私の携帯にテンのおばからの電話が入った。

 夜9時過ぎ。

 「今日は手術が出来なかったんだよ。点滴の注射が入らなくて」

 彼女の腕、足、頭いたるところに刺されつづけた針は、殆どの毛細血管をつぶしてしまった。今では注射針の交換は拷問になる。少ないときで、3-4回、多いときで20回ものトライの上、やっと残り少ない‘使える’血管が見つかる。針を刺されるたびに泣き喚くテン。その小さな身体を押さえつける私たち。特に頭に指されるときは正視にたえない。それでもうまくいけばまだいいのだが…。


 手術室から‘無傷’で戻ってきたテンは、朝からの絶食の渇きを一気にいやすかのように、グビグビとミルクを飲んでいるという。

 この子はどれほどの痛みを経れば、『生きる』ことが許されるのだろう。次の手術の可能性を秘めながら過ごすつかの間のまどろみも、点滴、投薬、検温で破られる。

 だからこそ普通の子どもの何百倍もの愛を受ける権利がある。それは昨日出会った、知的障害者の子どもたちも同じなのだ。

 日々の暮らしの中で、自分自身が投げかける命題、受身の命題。それらに思考をめぐらせるとき、テンの存在が迷路にさまよう私に、出口への光を投げかけてくれる。
by karihaha | 2006-01-12 11:32 | ブログ | Comments(1)
Commented by 菅野 洋子 at 2006-01-12 11:47 x
日々、本当にお疲れ様です。
これから立ちます。チェンマイでお会いしましょう。
いろいろありがとうございます。
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