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小児病棟から(15) 今日も

 今日の‘守備範囲’の乳児は4人。Vホームからはガーンスリーと肺炎を患っている男児。その他に、今日ICUから上がってきた女児。彼女の山岳民族の親はまだ病院に到着していない。病棟に入るなりジョンが「彼女のどこが悪いか分かる?」と聞いた。見たところ脳性マヒのように見えるが。「その上、目が見えないんだよ」。なるほど手をかざしてみても反応しない。可愛い顔をして丸々太っている。彼女も親もこれから大変だ。

 ビクタージュニアNo.1(小児病棟から14)の女児もまだ‘滞在中’。彼女は一日に一度は呼吸停止を起こし、周りを慌てさせる。分かりもしない6ヶ月の子に「息をするのを忘れたら駄目だよ」と声をかける。

 ビクタージュニアNo.2は彼の親が紹介されてきた地方病院に転送された。人生で初めてシャバの空気を吸ったというわけだ。

 それともう1人、今朝から入院している11才の男児。彼はVホームがある同じ敷地内の‘ボーイズホーム’の子どもである。

 Vホームは6才まで男女が一緒に住む施設。ボーイズホームは就学期に達した子どもが別れて住む、男の子たちの方の施設である。彼は腎臓が悪く、毎月1回輸血に来るのでもう顔見知りだ。彼と瓜二つの姉も同じ病気を抱えている。しかし今日はまた違う問題があって来ているようだ。

 顔半分が腫れ、痛みがあるようだが普通に歩行が出来る。話し相手がいなくて寂しいのか、私たちが陣取っているところへ来ては、時間を過ごしている。普段は病原菌を慮って、子ども同士をあまり近づけないのが鉄則だが、彼の場合はあまり問題でないようで、看護婦が見ても何も言わない。

 物心ついた年齢の子どもとの会話も楽しい。今日も「ご飯食べた?シャワーした?」から始まって、学校のことを話し、挙句に、ベビーコットを揺らしておいて、とちゃっかり手伝わせた。素直に応じて、優しく揺らしながら子どもをあやしてくれる。それを見ていた私は胸がつまった。この愛しい存在たち。

 夕方近くVホームから3ヶ月の男児が入院してきた。彼も肺炎。高熱と呼吸困難だ。ひきつけが心配だ。

 これでVホームの子どもが3人になったので、夜間の看護にホームから保母が来た。引継ぎをして帰路につく。今日の保母さんは若くて、気立てのいい人なので安心だ。
by karihaha | 2005-03-04 21:06 | 小児病棟から | Comments(0)
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