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分からん! (1)

タイでの生活も6年も過ぎると、少々のことでは驚かなくなりました。良きにつけ悪しきにつけこちらでの生活に慣れ親しんでいるということだと思います。語弊を招くのを承知の上で言えば『タイ人化』しているということかもしれません。

現実に、日本のニュースなどを見ると「ワー大変だ! これはもう帰れないなー」と思わせられるような事象が多々あります。いまはまだ健康に暮らしているからそんな呑気なことを思うのかもしれませんが、言葉のハンディ、所得の少なさや一部の生活条件を除いてはいまのところこちらの方が居心地がいいと感じています。


でも、時にはこちらでも『分からん!』と首を傾げたくなるようなことがあります。大抵はカルチャーギャップとして見過ごすのですが、この数日続けてどうしても納得できないことがありました。

『雨とパラセタモール事件』
パラセタモールはアスピリンと同じく鎮痛・解熱剤です。非常に安価な薬品(10錠包で10バーツ(30円)で薬局でなくてもコンビニや商店で気軽に手に入ります。タイ人にとっては常備薬で、何かといっては服用しているみたいです。

ことの発端は一昨日の小雨の降る夕刻、宿題の終わった子どもたちを外につれだしたことにあります。週日のその日は学校から帰ったあとも宿題や特別授業で屋内にずっといた子どもたちのストレスを発散させようと思ったわけです。

子どもたちは大喜びでしたが、屋内に入るなりその夜の担当の先生が子どもたちに何やら白い錠剤を配りはじめました。パラセタモールです。急いで止めさせ理由を聞いてみると、雨にぬれたから風邪や熱の予防のためだというのです。

愕然としました。すぐに他のスタッフにも聞いてみると、「自分の母親も小さい頃にそうしてくれた」というのが大多数でした。ソーシャルワーカーなどは、「エ! 大人用のをあげたの? 子どもには水薬を用意しているのに!!」という馬鹿な答えが返ってきました。子どもだから水薬ならいいと思っているわけです。同じパラセタモールなのに、、、

当然ながら鎮痛解熱剤は予防薬にはなりません。安価ゆえに出回ったこの薬がとんでもない間違った使われ方をしているわけです。


何故だかタイ人は雨に濡れるのを忌み嫌います。特に頭頂部がダメみたいで、身体ではなく、頭にだけビニール袋をかぶって歩いているのは雨の日の風物詩とも言えるでしょう。

聞くところによると、『頭頂部は神様が宿っているか、宿る場所(?)』だからだそうです。

大学出のスタッフに聞くと、雨には色んなばい菌が混ざっているからと尤もらしい答えを返すのですが、見る限りでは私たちが二の足をふむような川やお堀で泳ぐのは平気らしいです。

雨の日に身体ではなく頭頂部だけを守るというのは、まあ微笑ましい民間信仰として捉えられるかもしれませんが、その上に何の因果関係もない化学薬品を飲ませるというのは、いくらなんでも見過ごしにはできません。


タイ人が国民皆保険という制度で健康保険を手に入れたのは、およそ10年前のタクシン政権の時代からです。それまでは社会保険等を持っていない人が病気になった場合は、実費で診察を受けるか民間療法に頼るしかなかったのです。 パラセタモール万能薬信仰などはその中で生まれた最たる『ひずみ』なのかもしれません。
by karihaha | 2009-05-30 12:29 | ブログ | Comments(0)
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