先日村の小学校の学期末保護者会がありました。 事前に校長に保護者と少し進学率について話をしたいと申し入れてありました。この小学校に通う子ども達のうち、ビルマの難民の殆どの子弟が小学校を最後に学校を去ってしまうのを、なんとかしたいという気持からでした。
でも日雇いで一日120バーツ(300円)の賃金で働いている人々にとり、一日仕事を休むことは、その日は無収入を意味します。 それで、あくまで『ついで』に話が出来ないか、と考えた訳です。 当日、ビルマ難民支援のNGOスタッフを伴って到着すると、食堂を臨時の講堂にした会場は満席の盛況でした。これは校長の人望もさることながら、当日のメインイベントとも言える貯金の返還が控えていたからでしょう。 ビルマ移民の大半が銀行口座をもたない中、どの小学校も奨励している『生徒貯金』にことさら熱心な人々です。毎日5-バーツ、10-バーツと貯めていき、学年末には1年分を返還し、生活費や来年度の教育費に充てるそうです。 校長の配慮で、比較的進学率の良いタイ人には先に貯金を返還するべく退席してもらい、タイヤイ、パロング族というビルマ移民に残ってもらいました。その上で彼らの言語を話すスタッフが話しはじめました。 はなし始めると、一人また一人と退席する人々が目立ち、あれほど一杯だった会場に空席が目立ち始めました。待ちに待った貯金を受け取るのを一刻も待てないかのように、各教室へと去っていくのです。当日の議題の『進学奨励』が保護者の関心を引くかなかったかのかと失望を隠せないでいると、しばらくするとまた戻ってくる人々もあらわれました。そんな時でもNGOのスタッフは泰然自若としています。「彼らはそんなものですよ、時間がかかりますよ」と。 確かに一朝一夕で彼らの意識を変えるのは無理でしょう。でも小さな一歩にはなったと信じたい。会議後にNGOスタッフが配布したパンフレットやポスターを、先を争うように持って帰った彼らの、意識の片隅に残ったと信じたい。 はあ、道は遠い。
by karihaha
| 2012-03-25 14:53
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