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小児病棟から(78) 逃げる

 Vホームから口唇口蓋裂の男児が入院してきた。近々手術が行われるのだろう。

 アームと同じぐらい、いやもっと男前ちゃんかもしれない、生後7ヶ月の彼の泣き声のすごいこと。身体全体が怒りの爆弾のように真っ赤になり、震えながら泣いている。

 お腹がすいているからだろうと推測は出来ても、どうしてミルクを飲ませればいいのだろう。

 Vホームでこの状態でしばらく面倒を見ていたのだから、哺乳瓶が吸えるのではと思い口にあてがったが、飲むはしから流れ落ちてしまう。

 一計を案じて、注射器で口に流し込むとうまくいった。

 息を切らしながら飲んでいる。

 可哀想に。

 あっという間に4オンスを飲みきると、とたんに静かになった。

 
 彼を入れて5人。ちょっと疲れ気味の体調にはきつい。

 「逃げよう」
 
 予定通りジョムトンへ向かう。
by karihaha | 2005-06-21 12:15 | 小児病棟から | Comments(0)
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