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獣道

チェンマイ県庁 ↓
獣道_c0071527_2164541.jpg セームのギブスが外れ、いつ何時退院が許可されるか分からないいま、お役所の動きが気になる。

 電話ではらちがあかないと、県庁の福祉事務所を再び訪れてみた。ドイツ人の施設長の積極性に背中を押されたということも多分にある。
 
 一番知りたかったのは、退院後Vホームに行くという前回の話し合いの結論通りにことが進んでいるのかどうか。


 今までの生活環境から根こそぎ引き離してしまってもいいのか、という点に逡巡し、‘おじ’や盲人との生活を想定してみるが、いくら考えても振り子のように戻ってくる場所は、『どう考えても子どもが育つに相応しくない環境。HIV感染者であればことさら』という結論。

 たとえ逡巡し拘泥したあと、例えば私が「盲人のところへ帰してあげてください」と言ったところで、何の影響力もないのは重々承知の上だが…


 セームはリハビリのためにもあと2週間病院に滞在し、その後はVホームに行くと社会福祉士に告げられた。戸籍関係の書類も郡役場で手続き中で、その後の行き先については、社会福祉局ではなく、Vホームの管轄とのことだった。

 ドイツのNGO、Gホームの存在が浮かび上がったことによって、セームの最終的落ち着き先にいたるまで、折衝することになってしまった。それもあの官僚主義の塊のようなVホームと。

 Gホームが県外にある点、Vホームのネットワークに入っていないこと等、この施設を勧めるのは、折角踏み固められた道がある山を、わざわざ獣道を通って登山するようなもの。


 しかし、児童養護施設で引き起こされるこ虐待等の問題を聞くにつれ、出来れば里親か、家庭的なNGO施設で預かって貰えればと思っている中で、Gホームの内容と、施設長の熱心さは願ってもない事かもしれない。

 
 ちなみにVホームのHIV感染児のうち、就学年齢に達した男の子たちは、それまでの男女同居の「感染者の家」を出、「ボーイズ ホーム」と呼ばれる健常児の男子の家の管轄下に移されることになった。

 健常児もHIV感染児も6才以上を過ぎると、養子縁組で引き取られる可能性は殆んど無くなる。彼らに残された道は、児童養護施設で18才までの人生を過ごすか、幸運な者は里親に育てられる、あるいはまれにNGO施設で暮らす僥倖に恵まれる子たちもいる。

 
 その「ボーイズ ホーム」に行った男の子たちのことが気になっている。「荒くれ者」の多いその場所で、ちゃんとやっているのだろうか。

 年齢が下の子ども、特に乳児をすすんで受け入れる傾向のあるNGOの中では、異色とも言えるGホームの柔軟性であれば、彼らのこともお願いできるのではないだろうか。


 「柳の下の二匹目のどじょう」を狙う私が行こうとする「獣道」のようなGホーム。さてVホームの裁定やいかに。
by karihaha | 2005-06-30 02:21 | ブログ | Comments(0)
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