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叩けよ、さらば開かれん

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今年高校1年のDewは奨学生の中でも1期生とも言える生徒で、もう8年近く支援を継続しています。彼はずっと親元で生活しているのですが、最初は財団の特待生のような立場で週末の授業に参加し、私が財団を辞めたあとも奨学生としての付き合いです。

その間心臓病を患っていた高齢の父親は亡くなり、母子2人暮らしになりました。母親は父親と商っていた古物商をやめ、父親が亡くなった2年前からはホテルの清掃婦として働いています。

その母子が最近になって引っ越したというので、新居を見がてらの家庭訪問をしました。新居とは言っても、大きなダブルベッドがドンとかなりのスペースを占める一部屋の貸し部屋です。でも前の部屋に比べると、これでも随分便利で快適なようです。というのは前の部屋は雨漏りとねずみ被害が酷く、食べ物は何も外に出せなかったのです。その上ここにはWifiもあります。

Dewの下校を待ちながら母親と話しだすと、彼女はいつもの通り事細かく家庭の経済事情を説明しだします。

給料がいくら、毎月の家賃・光熱費・ガソリン代がいくら、食費がいくら。確かにその総額を聞くと、母親の掃除婦としての月収ではかつかつの生活でしょう。でも私も出来るだけの学資支援をしています。ここは聞き流すしかないのです。

私のタイ人の友人にも母親を一度会わせたことがあるのですが、その友人は「いくら困っていても他人に懐具合をぶちまけるなんて、行儀が悪い」と言います。彼女も2人の大学生の子供を女手1人で養っています。そんな彼女だからこその言葉ですから余計に重みがあります。ここタイでは日常茶飯事に聞くお金がらみの問題ですが、当たり前と言えば当たり前ですが、こんな“きんじ”溢れる人もいるのです。

さて、母親はさておいて、肝心のDewは15才の今も相変わらず頭脳明晰で素直な少年に育っています。いまはチェンマイ県で公立としてはトップクラスのY高校に通い、その中でも学校が選定した成績トップの子ばかりが学ぶ「スマートスチューデント」というクラスに属しています。

将来の夢は医者かエンジニアとタイの一般の子が、「将来の夢は」と聞かれると答えるプロトタイプな職業名ですが、彼なら本当に実現できるかもしれません。

かねてから「実は日本留学したい」と言っていたので、日本政府主管の奨学金情報を教えると、「日本語の勉強をスタートさせた」と教科書を見せてくれました。 

まだひらがなばかりのノートですが、『叩けよさらば開かれん!!』。ガンバレー。
by karihaha | 2016-05-30 19:44 | ブログ | Comments(0)
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