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小児病棟から(114) ゲームの転院

 栄養失調の女児、パクに付き添っていた母親の姿は消えていた。

 今日の陣容は、そのパクとゲーム、そして「2カ国」。加えて5ヶ月の女児の総勢4人。この女児は祖母が連れてきて、すぐに帰ってしまったそうだ。

 この子は身体全体がどす黒く、最初は腎臓病と思ったが、心臓病とのことで、身体が黒く見えるのはチアノーゼのためだった。

 看護師が早速つけた彼女のあだ名は、ダム(黒)。身もふたも無い命名だが、ぎりぎりの線で、ユーモアと受け止められるのは、タイ人の特質か?

 
 若い医師が近づいて来て、ゲームはS病院に転院すると告げた。そこで肺の手術が行われるとのことで、手術のための同意書にサインするため、明日、母親が来ると言った。

 電話では一旦チェンマイに来ることを同意した母親ではあるが、本当に来るのかどうか、誰も確信が持てないでいる。

 ゲームもどのくらい入院するのか、ひょっとしたらテンと一緒に私が面倒を看ることになるのでは?

 
 S病院のテンがいた部屋では、父母に棄てられたのは結局テンだけだった。それほどまでに稀有な子どもたちが、ここN県立病院では、日常茶飯事で見かけられる。何故だろう? Vホームが近いからという訳でもないだろうが。


 夕刻、チアップが近づいて来て、「ゲームの母親は来るのを拒否しているみたいだよ」、そして、「可哀想に、こんなことならVホームに行ったほうがいいよ」と言った。

 Vホームという言葉にいつもネガティブな思いで反応してしまう私だが、実際にはゲームやビクタージュニアのような病弱な子どもが行ける場所は、あそこしかないというのが、悲しくて、厳しい現実ということも良く分かっている。
by karihaha | 2005-09-08 09:31 | 小児病棟から | Comments(0)
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