ゲームが帰ってしまい、心にポッカリと穴があいたような、何かが終わったような気がしていたのだが…
今日のN県立病院での‘私の患者’はパク一人。彼女の足首の傷にも肉がつきだし、退院も真近いのではないかと思われる。彼女とはもう1ヶ月以上の付き合いになる。帰ったら寂しくなるだろうな。
それより以前に気になるのは、一度面会に来たきりの母親のこと。これだけパクに‘興味(親にこの言葉遣いが適切なのか?)’を示さないとなると、このまま何も行動を起こさずに帰してしまうと、また同じ運命をたどるのは目に見えている。
そんなことを考えていると、午後になって次々と‘私の子ども’たちが入院してきた。Vホーム4人。それ以外1人。てんてこ舞いで対応する。合計6人分のおしめをたたむだけでも2時間を費やしてしまった。
畳みながらふと見ると、看護助手が椅子に座ってダベっている。
「私はあんたらを楽にさせるために来てるんちゃうでー」
ここでタイ人のメンタリティーという論題に結びつけるには、もう経験を積みすぎてしまった。
『あきらめ』
ストレスを道連れに、そのまま仕事を続ける。
一日が終わって病棟を出る夕刻、ぐったりと疲れた身体と頭には、パクの行く末という命題と向き合う気力はもう残っていない。
時が風化させてしまうかもしれない子どもたちとの出会い。やっぱり自己満足と言われても仕方がないか…