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小児病棟から(144) プツン!

 ここ3週間ばかり、S病院のテンがいる病棟で一日10時間以上を過ごしている。

 『ボランティア』

 自発的にある事業に参加する人。特に、社会事業活動に無報酬で参加する人。篤志奉仕家。  〔goo辞書〕


 今は正直言って、この言葉の定義とは少し違った気持で病院に通っている。

 『責任・しがらみ』

 そんな身もふたもないことを言ってもいいのか? 勿論、テンだからという大前提はある上でと、言い訳がましく…。

 その上、『葛藤』も。

 ゲームを看取れなかった。

 私がいたところで、何ほどのことが出来ていたのかとも思う。それでも…

 今もN県立病院にいる子どもたち、特にビクタージュニアや、多分他にも私が知らない間に入院している子どもたちのこと。


 最近は病院にノートブックパソコンを持ち込んで、このブログの下書きをしたり、‘ソリテリア’で暇つぶしをすることが多い。

 今日も、『マイドキュメント』の整理をしていると、「チョッとすみません」と隣のベッドをなおす振りをして来た婦長が、私のコンピューターを指差しながら、「こちらでは、電気製品を使われる場合、一日50バーツをいただきます」と言った。

 その言葉を聞いたとき、私の‘何か’がプッンと音を立てるように切れた。

 曰く、「自宅ではシャワーを含めて、全ての電化製品を一ヶ月まるまる使って400バーツ。それが一日50バーツ?! 私は、無給のボランティア。でも、タイの子どもたちのためと思って働いている。そんなに高い電気代は払えないから、それなら使いません!」

 そして、夕刻。テンの担当医のインターンが医学生の一団を引き連れてきた。テンはその午後、飲んだミルクを派手に吐いていた。何気なくそのことを報告すると。

 「吐くことと、えずくこととは違います!」と言いながら、えらい剣幕で、早口のタイ語でまくしたてた。

 そのとき、再びプツン、プツン。と私の神経が切れた。

 「エ!? ‘吐く’、‘えずく’の医学的違いが分かりません。今おっしゃったことを、もう一度英語で説明してもらえませんか?」

 かのインターンの顔が引きつった。ここタイの医師たちは英語が話せるのが、普通と捉えられている。


 そのまま次のベッドに移った一団に聞こえるように、ことさら大きな声でテンに話しかけた。

 「な、テン。メーはタイ人と違うんやから、そんな難しいことまくしたてられてもなー」

 
 学生の前で格好をつけたいインターンと、電気代の件でわざわざ、『外国人ボランティアの善行』を振りかざすわたし…

 やっぱり、最近ちょっと疲れているみたいだ。 
by karihaha | 2005-11-15 00:52 | 小児病棟から | Comments(0)
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