小児病棟から(175) 退屈なだけ?

 持ち上げたり、こきおろしたりと忙しいが、それでもテンのいる6階の病棟は8階に比べると『掟』が比較的緩やかだ。

 「24時間付き添えって言っても、出来んもんは出来ん!」という親たちには、病院に来ないという実力行使の道が残されている。これにはさすがの婦長も折れざるを得ない。まさか首に縄をつけて引っ張ってくるわけにもいかないしというところだろう。8階の婦長は、それでもせっせと縄を編んでいそうな感じなのだが…。

 
 N県立病院でならした私の『孤独な入院患者』の見分け術は、ここS病院でも効を奏する。今日だけでも4人のターゲットを発見。

 はっきり言って、食っちゃ寝のテンの相手だけでは退屈極まりない。4時間おきに6オンスのミルクを飲み干すと、目が重くなってくる。そこで「ねんねんころり♪」の必殺技をかけると、他愛もなく眠りこけ、2時間は起きない。

 N県立病院でも入院患者が一人だけの時などザラにあるのだが、これほど退屈したり、拘束感をもつことがないのはなぜか、とつらつらと考えてみる。あそこに行くのは私の意思、S病院の場合はテンのおばにかなり押し切られているからというところだろう。

 月曜日は、「お腹が痛い。子どもの学校に呼び出されている」。火曜日の朝の電話は、「いまから家に帰るね、仕事があるから。先生がこのままの状態だったら、あと2.3日で帰れると言ってた」ととりなす。今朝は着信音が聞こえないようにしていたが、10時過ぎたのでもういいだろうと戻すと、待っていたように電話がかかってきた。ワン切りではない、自己負担(当たり前)での電話についついとってしまった。

 「今週の土・日は付き添えないからね!」と先手を打つ。「今日はダメ!」と言えばいいものを、根が正直なもので…。すると、「大丈夫、今朝の回診で遅くとも金曜日には退院と言っていたから、丁度いいね?(どこが?)」

 私は私で、このあいだ払わされた酸素なんとかの器具代があったので、今回は付き添い費を一週間分は払わないぞ、と思っていたのだが、おばはその辺を読んでる? いやまたひねくれたことを考えている。遠慮していると考えておこう。だから内職に精をださなければいけないと。その方が精神衛生上よろしい。でも、結局ワリを食っているのは私なんだけど…。


 テンが寝ているあいだ、『孤独な病人たち』をかわるがわる面倒を見ている私を見て、付き添いの親やスタッフが「良い人」と持ち上げてくれる。

 「いやいや、ただ退屈なだけなんです」と言ってしまっては身もふたもないか?
[PR]
by karihaha | 2006-03-09 03:24 | 小児病棟から | Comments(3)
Commented by ichihimenitarou at 2006-03-09 12:58
笑っちゃー怒られるけど、このチェンマイさんとおばさんの
微妙な(?)やりとり・・・心の声も含めて
ちょっと面白いと思って、読んでます。(^^)
しかし、おばさんは強敵ダナー!!
Commented by karihaha at 2006-03-10 06:48
そう強敵なんです。絡めとられないよう。足元を救われないよう。戦略をこらして。

でも何故か憎めない人なんですよね。
Commented at 2007-05-15 01:59 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
名前
URL
画像認証
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。



<< 小児病棟から(176) えくぼ 小児病棟から(174) 職員の矛盾 >>