スペシャルケース

 タイはいま長い夏休み中。全ての学校が一斉に同じ日に休みをスタートするのではないが、3月下旬ともなると、ほぼ全校が休みに入っている。

 これから5月中旬の新学年までは、私の行きつけの食堂や市場にも、親の手伝いをする子どもの姿が目立つ。


 今日の病棟にはサーウがいた。彼女はVホームと同じ敷地内にある、学齢期に達した女児のための施設『Pホーム』で暮らしている。『少年の家』は同じく学齢期に達した男児のための施設。国立児童養護施設の少年少女たちには、完全な住み分けが実施されている。

 サーウはその年齢で入院してくる子の病因としては一番多い腎臓病を患っている。入院と言っても、月一回輸血を受けにくるだけなので、当日の夕刻には帰っていく。名づけて『ドラキュラちゃん』。私がつけた彼らへのネーミングだ。


 おしめを畳む私の横に、『泣き虫アリー』7ヶ月を抱いて座り込んだ彼女としばしの会話。

 「サーウは今度何年になるの?」

 「5年生」

 10才で5年生ならば、ごく普通に就学したのだ。ここタイでは15才以上で小学生というのも珍しくはない。

 彼女は小学校3年生でPホームに預けられたそうだ。はきはきと話す彼女からは、‘影’が感じられない。もの心ついてからの別離なのだが、その選択は彼女にとってプラスだったのだろうか?


 「Pホームっていま何人いるの?」

 「15人。ぜーんぶ女の子だよ」

 15人とは思ったより少ない人数だった。『少年の家』の100人強に比べても格段の差がある。でもその原因もよく知っている。

 このブログにも何度も書いたが、養子縁組では圧倒的に女子に人気がある。

 『健常児、女子、3才以下』

 この3項目を養子縁組の条件にする養親希望者がひきもきらない。話は変るが、男女問わず3才以上、あるいは障害者は‘スペシャルケース’と呼ばれる。

 たったの3才で、もうスペシャルケース!? 

 子どもにも『旬』があるのだ…。


 もう一つの理由は里親。ここでも学齢期の女児は男児に比べて優遇(?)されている。まあ、里親家庭としても、やんちゃな(?)男児より、女児の方が育てやすいということなのだろう。

 サーウは病気もあって、スペシャル中のスペシャルケースとでもいうところかもしれない。P施設に残っている少女たちは、だいたい似たり寄ったりの事情を持っている。そのうち年長組の少女たちは、Vホームの子どもたちの洗濯物の集荷や、配達に駆りだされている。


 ‘旬’をのがした、‘スペシャル’なサーウだが、勉強が良く出来るらしい。そして『泣き虫アリー』を気遣う優しいお姉ちゃんでもある。
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by karihaha | 2006-03-31 02:14 | ブログ | Comments(0)
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