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バンコック女性刑務所

うちで一番のちびっ子は「ファーイ」というニックネームの3歳児。

来月19日で4才になる彼女の母親と初めての面会を果たすべく、バンコックにある女性刑務所へ。


麻薬錠剤9万9800錠所持の罪で去年8月23日に逮捕された。そのときファーイは母親、そして母親の恋人との3人暮らしだった。

母親が逮捕後に留置・拘束されたのは、チェンマイではなく首都バンコックの刑務所。かなりの重罪と判断されたためのようだ。


ファーイはたったの8ヶ月間離れていただけなのに、母親という認識ができなかったようだった。

同行した社会福祉士にまとわり、母の呼びかけに耳をかさない。

囚われの身の母親は、胸に止めていた『囚人証』の裏にはさんでいた二人で写した写真を見せる。

ファーイはそれをしばらく指でなぞっていた。それから母親の顔と写真を見比べていた。

何も言わない彼女。でも母親の「おいで」の声に今度は素直に従った。


特別に持ち込みを許可された、持参した彼女の最近の写真を見てもらった。

施設でのイベントの数々、普段の彼女の可愛いショット。


「いかがですか? ファーイが私たちの施設にいることに異論はありませんか?」

「もちろんないです。でも彼女はいつまでそちらに居られるんですか?」

「施設には一応18才まで居ることができます。でも大学に入るような学力があれば、22才まで支援します」


「外国人との養子縁組という可能性はありますか?」


ファーイは隣人の通報がきっかけで、わたしの働く施設で引き受けた。

同居していた母親の恋人は消え、母と離婚した実の父もファーイを施設に預けたきり音信不通。


9万9800錠所持は、良くて終身刑、最悪の場合は死刑と聞く。

まだ判決を待っているファーイの母親に会いたかったのは、そんな状況にさらされている母親に、「養子縁組を考えてみませんか?」というわたしの考えを探りにいくためだった。でもその言葉の意味の持つ残酷さに、口に出来なかったのに。。。


エイズホスピスでボランティアをしたことがある。

抗HIV薬など高嶺の花だったほんの数年前のあのとき、毎日のように亡くなっていく患者さんの最期を看取りながら、どれほど自分の無力を感じたことか。


貧しさゆえに甘い言葉につられ密売の片棒をかついだ28才のファーイの母の姿は、あのエイズホスピスで自虐的に自分の人生を語りながら死んでいった人々の姿に重なる。
by karihaha | 2007-04-27 23:13 | ブログ | Comments(5)
Commented by 岡本 舞子 at 2007-04-29 20:19 x
ブログ、読ませていただきました。
タイのエイズホスピスに興味があるのですが、行ったホスピスを詳しく教えていただけないでしょうか?
Commented by karihaha at 2007-05-01 23:25
わたしがボランティアをしたのは、バンコック北部の中都市ロップブリという街にある、『プラバートナンプー寺』です。5年前といまではここタイでもHIVに関わる医療的環境は、その当時からは想像も出来ないほど変わっています。「あのホスピスもその後どうなっているのか?」。 
Commented by Sinohana at 2007-05-15 02:21 x
バンコクで小児にかかわるボランティアをしたいと思っています。以前小児病院で看護師をしていました。できれば小児病院がいいですが、そのようなボランティアの募集は何を探したら見つかりますか?またどこかあれば教えていただけないでしょうか?
Commented by karihaha at 2007-05-16 01:47
Sinoharaさん
看護師さんということであれば、色々な場所でニーズがあるとは思うのですが、残念ながらわたしはバンコックの施設にはあまり詳しくありません。でも一箇所だけですが、『パクレット』と呼ばれている公立の施設をあたってみられたらと思います。首都にあるこの施設は、児童擁護施設を始め、盲学校、障害者のための一大コロニーでもあります。その中でも特に、『脳性障害をもった孤児たちの施設』、そこで力を発揮していただけたら、そう願っています。
Commented by Shinohana at 2007-05-16 02:03 x
ありがとうございます。まだ、バンコクに来たばかりですが何かお役に立てればと思っています。一度あたってみます。
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