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チョッと休憩(3) ソンテウ大好き!

 自宅を出てすぐの大通りは、チェンマイ旧市街から北へ向かう幹線道路。そこから郊外へ向かうソンテウ(タイの乗り合い自動車)に乗り約15分で病院に着く。タクシー代わりに使う市内専用の赤い車体のソンテウの他に、長距離用のソンテウがあり、それは決められた路線を走る。目的地は車体の色でわかる。ソンテウは値段が安いこともあり、チェンマイっ子にとっては重要な足となっている。

 このソンテウ乗車、特に長距離のそれが私の楽しみの一つだ。まず第一に、タイの庶民の生活に触れられるのがいい。乗り込んだ途端に、タイ人の中でも私が特に好きな、庶民層のおばさんたちが話しに花を咲かせているのに遭遇する。

 チェンマイに来たころは、皆親戚かと思っていたが、そうではなくただ同じ車に乗り合わせただけの他人同士が、10年来の知己のように買い物の話しをしていたりする。私は、外見はタイ人のように見られることが多いので、話しかけられることもある。一言話すと外国人ということは歴然とするので、彼女たちはあやふやな笑みを浮かべながら、元の話し相手との会話に戻る。

 しかしそのことで私の存在を含めたその小さな空間が気まずくなるなどということはない。そんな人々を眺めながら、この国に居てそんな風に自然に受け入れてもらっていることを、ありがたいことだといつも思う。

 今日も通りに出てみると、丁度セブンイレブンの前で黄色のソンテウが止まっていた。信号待ちをしている風でもない。チャーター便なのかと思い念のため聞いてみたが、路線便であった。しかし乗り込んでも動く気配がない。乗った途端に、いつものように「どこで降りるの?」とおばさんに声を掛けられた。「N病院で」と答える間も、ひょっとしたらやっぱりチャーターかも、と少し不安になった。

 今日の乗客はそのおばさんと、カラフルな山岳衣装を身につけた中年女性。そして助手席に若い男性。その他には持ち主のいないバッグが二つ置かれてある。待つこと3、4分。男性と幼児を連れた若い母親がなにやら楽しげに話しながら車に向かって来た。そしてその男性と何度も何度も別れのあいさつを繰り返し、母子だけが乗り込みやっと出発した。

 こどもの手にはセブンイレブンの袋が握られている。時間の経過とともに私の頭の中のクエッションマークが一つずつ消えていき、この事態は、始発点から乗り合わせた母子づれとあの男性が意気投合し、男性の降車地点で子供にお菓子を買ってあげるために連れ出したのではないかと推量した。ソンテウの乗客に子どもが一人でもいれば、車内が大いに盛り上るのが常である。
 
一人、また一人と降りていき最後にその母子連れと私だけになった。「今の男性は知り合い?」と聞いてみた。すると、「この子の父親」と答えた。「じゃお父さんはなぜ乗ってこなかったの?」と重ねて聞いた。すると「仕事があるから」と答えてくれた。

 当たらずといえども遠からずだ。それにしてもソンテウの運転手をはじめ乗客の度量の大きさ。またしても、この国が好きだと思った。
by karihaha | 2005-03-04 20:53 | Comments(0)
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