2005年 09月 01日 ( 1 )

「苦行」

 病棟に着くやいなやテンの大きな泣き声が耳に入った。丁度、看護師がテンの頭に突き刺した針を抜いているところだった。

 テープをはがすと、眉の上2箇所にそれぞれ直径5ミリと1センチぐらいのやけどのあとのような生傷が現れた。

 薬の種類にもよるのだろうが、以前にも同じようなことが起こり、かさぶたがはがれたあとにケロイドのような跡が残ってしまった。


 処置が終わり、やっとテンを抱き上げることが出来た。泣きじゃくる彼女の胸を私の胸にピッタリ押し当てると、胸がドキドキと波打っているのが分かる。

 蚕にくるむように抱き、揺らしながらあやしていると少しずつ落ち着きはじめた。

 
 「サクション」と呼ばれる、痰の吸引も苦しい処置の一つ。細いビニールの管を鼻や喉から通し吸い上げるその処置を受ける子どもたちは、どの子も一番つらそうな表情を見せる。

 苦しさのあまり暴れる子どもたちの手足を抑えつけるのが私の役目だ。数回通す毎に休み、息を整えさせる。

 「助かった」と思う間もなく再びチューブが鼻や口へ。

 そんなときの看護師や私は、子どもにとっては「鬼」そのものだろう。

 
 この「苦行」のときも、終わるとさっと抱き上げる。私は私で、「この場に居合わせてよかった」と思う。

 でも、鬼が不在のときも子どもたちへの「苦行」は行われている。
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by karihaha | 2005-09-01 01:00 | ブログ | Comments(0)